佇むおおきなコロンのこと・・・

私が小学生のころ、遠足のおやつは確か300円までと決められていて、
駄菓子屋さんの店先で何を買うか迷うのも、遠足前日の楽しみのひとつでした。
その金額の価値が今のどれ位に相当するのか・・・
2種類選ぶと、あとはわずかしか残らないのに、
なぜか絶対にはずせないのが、グリコのコロン。

信州に住むようになって、個人的な七不思議のページのひとつに、
この大きな謎の物体が書き込まれたのです。
春先になると畑の至る所に出没する大きな謎の物体・・・
『どうやったら、あんな形になるんやろ・・・』
中に入っている物も、初めは何なのか分らず、
廃棄物やろかなどと、勝手な推測をしていたりするのです。

そして先日、とうとうこのおおきなコロンが誕生する現場に遭遇したのです。
トラクターに連結された草色の荷車・・・
トコトコとゆっくり進んでいたその荷車は、
トラクターが止まって一緒にその場にうずくまるように見えたのです。
そして、『パカン!』と開いたその足元に、
きれいな円柱のその物体が『コロコロ…』っと出てきたのです。
一瞬の静寂、のように感じたその空間に、小鳥の囀りがかえってくる。
『みてしもたっ!』初めて目にするその一連の流れの美しさ。
それは本当に感動する一瞬なのでした。

『緑の箱やのに、ブラックボックスやなぁ』

このおおきなコロンの正式名称は、牧草ロールまたは、ロールベールというそうで、
牛たちの美味しいごちそうになるのです。

写真は5月初旬の白馬の水鏡です。ひと月経過した現在は、
稲もすくすく育っていて、美しい淡い緑のジュータンに変わっているのですよ。

山岳の春の訪れのこと・・・

開山祭は開催5分前のアルプホルンの演奏から始まりました。

今年は開山祭が行われるようになって、50回目の節目の年となりました。
毎年4月27日に開催される、その日の前に入山し、
馴染みの山小屋に宿泊してから参加するのも、
私にとっては、もうずっと続いている大切なたいせつな行事になっているのです。

もう30年も前の初夏の頃・・・  はじめて上高地を訪れたのです。
何かの表紙にあった、神の降りる場所『上高地・神降地』
この場所のことを、そんな認識で捉えるようになってから、
年々少しずつ変わってゆく景観を、さびしく思うことも多くなりました。
人が訪れやすい環境を造ることが、逆に自然を傷つけてゆくのかな…
そんな事を思いながら、
今のこの景観を記憶に留めておかなければと、強く思う一日になりました。

宿泊させていただく小屋の、スタッフの方々のあたたかい言葉をお聞きすると
本当に嬉しい気持ちになるのです。
そして宿泊されるお客様たちと、色んなお話をさせて頂く事も時々有るのですが、
そんな時は、『いい思い出ができるとよいですね・・・』とこころからそう思うのです。
いつの日か、安曇野で再会できるかもしれないですね・・・そんな事をこっそり思いながら・・・

島々獅子舞保存会の皆様の舞です。『しましまししまい』なんとなくかわいらしい響きですね。

深い森の緑の舞台でみつけたこと・・・

ホテルに隣接する烏川渓谷緑地には、遅い春にカタクリの花が咲きます。
森に生きるあらゆる生命を支える肥沃な森林土壌の中から、
雪解けとともに成長の速度をはやめて
ゆっくり訪れる春の装いに間に合わせるように、
紫色の花びらをひろげるのです。
森の木々を縫って射し込む光に、そしてそよ吹く風にやさしく揺れながら、
まるで緑の舞台で踊る妖精のように振る舞うその姿を、
時がたつのを忘れて魅入ってしまうのです。
『なんでこんなに、綺麗なんやろ・・・』
そしていつまでもこの環境がかわることなく守られていってほしいと願っているのです。

烏川渓谷緑地
http://karasugawa.com/areaguide/forest

いつまでもかわらずにあってほしい桜のこと・・・

今年の桜は、暖かな日が続いたこともあり開花の時期が例年よりも早まりましたね。
毎年毎年、山頂からの景色をこころに刻み込むために、その日も満開になる日を待って行ってきました。
昨年までは、かろうじて少しばかりの綺麗な色で化粧していたその枝に、
今年は花が咲かないのです。

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数年前から少しずつ、桜色の衣がはがれていくのを、悲しい気持ちが入り混じった、
そんな複雑な思いで見つめていたのです。
ソメイヨシノは、自身で子孫をふやせない桜なのです。
光城山の山道には、年老いた桜の大木の側に、苗木を植樹している所をたくさん見ることができるのです。
年老いた木々をこれからも大切にたいせつにしながら、そしてこれからずっと先まで、
この美しい桜並木を守っていけるように、そのような行いに参加してゆければと感じた一日でした。

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光城山は冬に積雪があり、雪山低山用の装備を準備する必要がありますが、
年間を通して登ることが出来る山なのです。
これからは桜と入れ替わって、山吹や躑躅が美しく咲きそろいます。
いつかぜひ、訪れてみてほしいところなのです。

光城山・長峰山ホームページ
http://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/32/10253.html

春の色を蔽う、儚い真っ白な雪のこと・・・


縦に広い信州は、桜が咲くころにも雪が降ります。
4月8日の未明から舞い始めた粉雪は、朝日が昇るちょうどその頃までの
ほんの僅かな時の中で、辺り一面に美しい純白のベールを掛けたような、
素敵な贈り物を届けてくれたのです。

幾分かの湿り気を含んだ粉雪は、厳冬の時の様にずっと残るような事はなく、
しばらくの時をおいて、書き始めていた冬の風景画を、
春の色でなぞっていくように融けてゆく・・・
ほんとうに儚い・・・それでいて美しいものだったのです。

 

春の桜を記憶と写真に残すために、旅の途中でお寄り下さったお客様にも
そして、当館を選んでご宿泊下さったお客さまにも、
淡い桃色の桜の花と、真っ白な粉雪の饗宴をみていただく事が出来て、
本当に嬉しい日になりました。

4月8日現在の安曇野市周辺の桜前線は、
山麓沿いでは大町市境を北限に少しずつ歩んでいるのです。
仁科三湖の中綱湖畔にある有名な大山桜は、まだまだ固い蕾のまま・・・
そして白馬は積雪がありました。
東に池田町の桜仙郷は満開で、山肌に美しい薄桃色の綿菓子を散りばめたようです。
そして深い森の中にある、ホテル周辺の私共が愛する桜は、
ようやく花を咲かせ始めたところです。

寄り道、廻り道・・・のこと

桜の蕾が少しだけ膨らみ始めた山里の春・・・
旧国鉄、篠ノ井線の廃線敷きを歩いてみました。

明治35年に開通し、30年前の昭和63年に廃線となった旧国鉄篠ノ井線・・・
四つの時代を、沢山の人が汽車と共に行き来した・・・
四季のうつろいの中にその面影を静かにしずかに留めているだけの、寂しげな、それでいて美しい空間でした。
山を廻りこみながら谷筋の地形にそって敷いてあった跡地には、福寿草の群生地があり、
近くには東一華(あずまいちげ)の白い花が咲いていて、生い茂る欅や桜の木々の新緑が
光に映える季節には、もう一度ここを訪れてみたいとおもわせる所でありました。

東一華(あずまいちげ)は陽光があたらない限り、花弁が閉じて少し俯いて佇むのです。
花言葉は 温和・・・そして静かな瞳・・・そのとおりの優しさがありました。

すぐ側の山の中には、現在の篠ノ井線が直線的にトンネルの中を通っていて、
そこを高速で電車が走ります。
景色をみる事もなく、時間の短縮と利便性を求めて移動する。
旅をするといつも思うこの便利さの陰に、時代と共に消えてゆくこんな場所が、
日本にはたくさんあるのだということを、寂しく思いながら・・・
この道、寄り道、廻り道・・・
明治の遺産“漆久保トンネル”は機関車が走っていた頃の姿をそのままに、
レンガ積みの美しい色を持つトンネルです。

明科駅方面からの最初の三五山トンネルです。

旧国鉄篠ノ井線廃線敷きウォークhttp://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/32/10252.html

大王わさび農場でおもうこと・・・

アルプスの降雨降雪が、十年の歳月を経て湧き出す場所のひとつに安曇野があります。
年間を通して湧水の平均水温は12度から13度程のこの場所は、
全国でも有数の『わさび』の生産地でもあるのです。
初めてこの場所を訪れたのはもう30年も前の事。
『大王って、変わった名前やなぁ』
敷地内にある大王神社や、その名前の由来には、
そののち、何度も訪れるようになった私にとって、心を動かされることが沢山あるのです。
平安時代の初め、坂上田村麻呂によって討伐されたという『八面大王』
今でも色んな説があるのですが、その八面大王の事が何時しか悪者に思えなくなったのです。


大王神社の先へ進むと、わさび畑には『幸いのかけ橋』が架かっていて、大切な人と渡ると幸せになれる場所。人気の撮影スポットです。
その先には、八面大王が最後にたてこもったとされる有明山の麓の岩屋『大王窟』の再現や、
七福神が祀られた『開運洞』があります。巨石の迫力には本当に圧倒されるのですよ。
ぜひ入ってみて下さいね。
そして『名水百選』日本一の評価を頂いたわさび田湧水が敷地内にあるのです。
その足元には、水かけ親子のかえるがいて、親ガエルに水をかけると無事に帰れます。
みかけたら必ず水をかけてあげて下さいね。
そして子ガエルにかけると若返るそうなのです。私にはこちらも必要ですね。
わさび農場の一番の人気者、『わさびソフトクリーム』はほんのりわさびの風味が爽やかです。
とっても寒い真冬でも、これは是非とも賞味していってくださいね。
水車のひとつが、老朽化の為付けかわって新しくなっていました。
これから頑張って廻り続けてゆく水受けにも、いつしか苔が生えて、
長い年月をかけてその水辺の風景に溶け込む色にかわってゆくのです。
水を搔く優しい音をたてながら廻る水受けと、流れてゆく水の行方を眺めながら、
『時間って、何なんやろ・・・』などとずっと考えていたりするのです。

大王わさび農場
https://www.daiowasabi.co.jp/

早春を彩る幸せの色のこと・・・

美しい黄色い花に会いに、四賀の福寿草祭りへ出かけてきました。
福寿草・・・
遠い遠い昔から、福を招く縁起の良い花であると言われています。
北側の斜面でよく育つといわれているように、群生地はそのような急な斜面に張り付く様にしてありました。
光を浴びて輝く黄色の無限な階調にこころをうばわれていると、
その視界にミツバチの姿が現われたのです。
冬の寒さの中で、冬眠をすることなく春までじっと耐えながら、
春を待つ福寿草たちの開花を待って花の周りをめぐり、そして飛び廻る。
そんなふうに花の周りを飛び廻るのは、およそひと月の寿命の中で後半のおよそ2週間・・・
一生懸命に蜜を集めて働くミツバチをファインダー越しに見つめていると、
なぜかいとおしく思うのです。
福寿草・・・どんな香りがするのかな、そして集めた蜜はどんな美味しい味がするのかな・・・
そんなことを思いながら、『私もがんばるでぇ・・・』とつぶやいたりするのです。

信州は、これから花が咲き乱れる季節にはいります。
当ホテルから少し足をのばせば、そこはもう息をのむほどの景観が広がります。
そしてここは松本市四賀会田(旧四賀村)・・・ホテルからおよそ30分程の所にあります。
福寿草祭りは、今年は3月21日まで開催され、早春の四賀を彩ります。

春の雪のこと・・・

明け方のまだ暗いうちから降り始めた雪は、
ほんの数時間ほどで辺り一面を白銀の世界にかえるのです。
湿り気を含んだ重い雪は、熱をためこんだ地面の上を
陽光の眩しさを増した中で真っ白な湯気となって消えてゆくのです。

北アルプス展望美術館は、ホテルから車でおよそ30分程。
安曇野の盆地を挟んで反対側の東の山の斜面にあります。
そして併設されているあづみ野池田クラフトパークは、広大な芝生の広場がひろがっていて、
その高台からは複合扇状地からなる、 美しい大地の景観が拡がっているのがみえるのです。

公園にはソメイヨシノや大山桜が植栽されていて、
それらの蕾も、開花の為に少しずつ準備をしている様子が愛おしくてなりません。
種や、あるいは小さな苗から大きく育った木々たちは、
今のその場所でずっとずっと生きていくのです。
『枯れるんやないでぇ…ずっとこれからも花、咲かせてなぁ…』
そう思いながら、 春の雪を眺めているのです。

北アルプス展望美術館
http://azumino-artline.net/ikeda/

あづみ野池田クラフトパーク
http://www.ikedamachi.net/0000000317.html

すぐ側には葡萄畑が広がっていて、安曇野産のワインになるのです。

萌え出す草の芽を待つこころのこと・・・

春霞がたなびき始める頃・・・日差しがあたたかく、そして優しく感じる季節になりましたね。
民家の垣根の固い蕾が少しずつ柔らかくなり、もうすぐ草萌えが見えるようになりますね。
春風が運んでくる空気のカーテンの中に、この季節特有の何かしら土を水で溶いたような
香りが混ざりはじめると、安曇野が美しい色をまとい始めるのも、もうすぐなのです。

安曇野ちひろ美術館。広大な芝生の広場もまだ淡いベージュ色。
今年度の開館までが待ちきれなくて、散策に出掛けてみたのです。
【電車の教室】と【電車の図書室】が2両で並んでいるのを眺めていると
なんかしら、『ここに来れてよかったね…』とささやきあっているように思えてなりません。
レトロで、それでいてメルヘンチックなこの宝物をずっと大切にしていってほしいと思うのです。
ホテルから、お車で北に向かっておよそ25分。
安曇野ちひろ美術館・・・本年は3月1日から開館いたします。
https://chihiro.jp/azumino/

そして優しい螺旋のさそいのこと・・・
苺の美味しい季節になりましたね。
本来は露地栽培の場合は5月頃に旬を迎える苺たちも
ビニールハウスの中では、早くも大きくて甘い実をつけているようです。
そしてそれらを集めて作られる美味しいソフトクリームも、
ここ、かぼちゃやま農場のおすすめなのです。
安曇野ちひろ美術館から歩いておよそ5分程の所にある
かぼちゃやま農場(いちご狩りは予約制になります)です。http://www.matsukawamura.com/experience.html

もうすぐそこまで近づいている春を、待つうれしいこころの片すみに、
なんかしら去りゆく冬を寂しく思う複雑な気持ちがあるのです。
すり抜けてながれていく、その一瞬一瞬を大切にしてゆきたいと思っているのです。