春遅いブナの森のこと・・・

小谷村雨飾温泉から、まだ雪の融けない山道を歩いてきました。
4月になってもまとまった降雪が続いた山間部の集落は、
ようやく遅い春を迎えたような、所々に山桜の薄桃色がふんわりと色を添えているのです。
沢山の雪の重みに覆われた道路は、除雪車が入る事さえ拒絶していて、
道を閉ざしたゲートから目指すブナの森へは、
片道4キロメートル程を歩いてゆかなくては辿り着かないのです。
融雪による幾筋もの水の流れが、大小様々な滝となって流れ落ちるその様は、
野鳥の囀りを搔き消すほどの音となって、薄黄緑色の新芽をつけたブナの森に響き渡るのです。(写真の山は新潟県境の雨飾山・双耳峰なのです。)

目的地は、小谷鎌池・・・
もう何回も通った美しい池畔には、
水面に反映する雪の白と芽吹きの薄緑の季節にしか現れない不思議な現象が、
見られるはずなのです。
『雪根開き(ゆきねびらき)』
一年振りに遭遇する、そんな景色をこころに思い描きながら、
雪上を歩くのも、本当に嬉しいものでした。

数人分のかんじきの跡が残っているのをみとめながら、
そんなすぐ側にカモシカの足跡を発見。
『元気でなぁ・・・人間にみつかるなよ・・・』
などと思いながら悠然と歩く姿を想像するのも楽しいものなのです。

鎌池は、まだまだ1メートル以上の積雪がありました。
そしてその周りには、ようやく新芽をのばし始めたブナの林が拡がっていたのです。
『また来ようかなぁ・・・あと2週間やなぁ・・・』そんな事を思いながら、
フキノトウが芽を出す雪道を、
その時を思いながら、幸せな気持ちで歩いているのです。

 

当館に至る山道は、常念岳の登山口に通じています。
来月辺り、まだまだ残る雪を見にいこうと計画しているところなのです。