2017年11月

ある虹の日の思い出のこと・・・

あれは私が小学1年生か2年生の頃…
降る雨にお日様の光が重なる、その不思議な空間をぬって、
生駒の山並みがすぐ近くにある様に見えたのです。
今も鮮明に記憶に残る、霧雨の隙間をぬって深呼吸するように、
大きく見える鮮やかな深い緑色。
そしてその麓から、きれいな虹がかかっているのを見つけてしまったのです。
誰でもが、多分子供のころに一度は夢見る虹の橋の、その麓の街への大冒険…
大切な故郷で見る山並みは、いつも薄い青い色。
空の青と同化して、稜線が混じり合っていることも有ったように記憶している。
『今日やったら、なんかあそこまで歩いて行けそうな気がするでぇ!』
子供の頃は、行動範囲の殻を破るたびにドキドキし、そして少しばかり成長する。
隣り町の境界を越え、虹の美しさに引き寄せられながら…
そして幾つかの町の境界を跨いで、幾つかの大きな道路を渡るとそこは、
来た事の無い隣りの市町村。
なのに、これだけ歩いても歩いても、虹との距離は一向に少なくならないのです。
達成することなく引き返してしまった小さな小さな冒険に、
悔しさと、そして心が少しだけ温かくなったことを記憶しているのです。

いつもの桜の樹の上に、掛かっている虹を見つけた時にそんなことを思い出しました。
そんな冒険を、懐かしく思いながらファインダーを覗いてみたりするのです。
そして、この雲に隠れて北アルプスは、その真っ白い雪の衣を沢山かさねるのです。

穂高ビューホテルから南の方角に輝く星々の光跡です。
真南の星は真っ直ぐ進み、そして左右の星は真ん中に寄ってそして離れていくように
見えるのです。

つい得意げに…虹の小さな冒険の報告をして、
両親に叱られたことも今では本当に良い想い出なのです。
お日様と雨降りがかさなる時を『きつねの嫁入り』というのですね。
なんかしら、かわいらしい呼び方ですね。

冬が来るまえに・・・

河童橋のたもとで執り行われる神事
上高地閉山式・・・今年も山の神様に感謝の気持ちを伝えに行ってきました。

安曇野から、国道158号線を通って山の懐に入る道程で、秋色がどんどんと薄れていき、
葉を落として冬支度を整えた木々が目立つようになってゆきます。
そして上高地は、雪を従えた峰々を背景に、
凛と引き締まった美しい景観を見せてくれるのです。
たった一日で・・・一足先に冬の中に迷い込み、
そして時間を逆戻って秋の中に帰ってゆくような感覚は、
何年も繰り返し通っていても、不思議な感覚にとらわれます。

日付が変わる頃・・・河童橋付近から望む穂高連峰です。
じっとして動かない星が北極星です。そして周りの星は一日かけて一周するのです。
満天の、降るような星空を眺めながら、『今年も、また来たよ・・・』

閉山式の後は、上高地には雪が降り続いたそうなのです。
『また来年・・・此処へ・・・上高地に来るんやで・・・』
そしてそれは、山々に話しかけられたような、そんな気持ちにさせられるのです。

しあわせなこととは・・・

時刻は午後7時・・・日の入り後の町の光が増してくる頃です。
中央から左の方向にひと際強く輝く一本の線は、国道147号線。
この道をずっと北上すると、白馬、小谷を経由して糸魚川に出るのです。
初めてここから夜景を眺めたのは、もう25年も前のこと。
当時はこの国道沿いにも、商業施設が殆どなくて、
その頃に撮った写真と比べてみても、ずいぶん明るくなりましたね。
それではここから燕岳への登山道のご案内です。
まず、登山計画書を提出し出発です。

せせらぎの音が聴こえなくなった頃、第一ベンチに到着です。

合戦小屋への荷物用リフトをくぐると、第二ベンチです。
唐松の葉も大分少なくなりました。

平坦な木の根道が続きます。

再び急な坂が続き、見えてくるのが第三ベンチです。

遠くに富士山が望める、富士見ベンチに到着です。

夏には松本市波田特産のスイカで栄養補給、沢山の方が休憩します。
ここ合戦小屋は冬の支度で忙しそうでした。

視界が開けて、山小屋と燕岳が見えるのです。

そして・・・北アルプスの女王、燕岳の美しい山容が現われます。

住宅メーカー:『お客様は登山がお好きでしたね?』
私:『はい。そうなんです。』
住:『そうだと思って、2階への階段を登山道仕様にしてみました。』
私:『登山道?・・・』
住:『本格的に土も盛ってあります。そしてシャワーで放水して雨天も再現可能です』
私:『あの・・・普通の階段にして下さい。』

山への憧れが強くなった頃、そんな夢をよくみたのです。
そして笑顔が素敵な山小屋のスタッフに、温かい気持ちを頂いて、
明日からまた、一生懸命頑張る気持ちになるのです。

私:『山登り、最高。そして下り坂・・・最高!』

モルゲンロートの優しい色に会いに行くこと・・・

旅に出られるお客様にとって、そして山の魔力に魅せられた私にとっても、
天気図を眺めながら、明日の天候をじっくり考え込むことが多くなる季節ですね。

信州の秋は、農家の方々はその作物の収穫時期と重なりますね。
安曇野には、沢山のりんごや葡萄の畑が広がっているのです。
そしてその果実の実を引き締め、色付きを良くするのに最適な現象が、
盆地特有の霧なのです。

真ん中に見えるのは常念岳・そして左が蝶が岳です。ホテルはその間の谷筋の霧との境界の少し上にあるのです。

安曇野は霧がよく発生する土地として知られていますね。
深夜から明け方にかけて、ぐっと気温が下がった朝は、
辺り一帯を濃霧がおおい尽くすのです。
見上げた空が、ぼんやりとほのかに明るくなり始めたころ、
その濃霧の存在感が大きくなってくるのです。

ほんの少しの先の様子も、探り探り進まなければならない程の
濃い霧に包まれた安曇野の里は、本当に美しいのです。
そしてそんな日は・・・例外なく美しい青空が広がっているのです。
太陽が少し高くなる頃から、白と真っ青の境目が曖昧になってゆき、
そしてその中に浮かび上がる、橙色の柿の実が現われる様は、
たとえようもなく美しいものなのです。

ホテルの山とは向い合せの、東に位置する長峰山は、
そんな安曇野を一望できる、素敵な場所なのです。
ここからお車で40分程・・・
朝日が差し込む半時間ほど前から、色彩のうつろいゆく様を見にいくのも、
ほんとうに幸せな事なのです。


左から、爺が岳・鹿島槍ヶ岳・五竜岳そして白馬三山と続く後立山連峰です。

モルゲンロート…
この色に夢中になれるのも、一時のこと。
少しずつかわりゆく山の色に、いつもいつも感動を覚えるのです。