2017年12月

深夜に徘徊するかわいい妖精たちのこと・・・

夜な夜な、ホテルの芝生の上を可愛らしい妖精たちが跳びまわるのです。
初めてその光景を目にした時は、闇夜にはずむ、小さな小さな丸い黒い影・・・
『なんやろぅ、あのまるいのん・・・』
時々ひとところにふたつが並び、そして時々重なる丸い影。
丸になり、楕円になって二つの影が重なったり離れたりするのです。
そしてそれは月の明りに照らし出されて・・・
現われたのは、小さなかわいい兎だったのです。

どうしても撫でてみたい衝動を抑えることが出来ずに、
こっそり後ろから忍び寄る。
後ろ向きの兎はまだこちらには気がついていないように思えたのですが、
少し近寄るとその何倍もの距離を跳び離れてこちらの様子を伺うのです。
深夜に兎と鬼ごっこ・・・
『キツネにつかまんなよ・・・』とこっそりと思った夜でした。

冬至が近づくこの時期は、日が差し込むのが7時半頃になるのです。
白く輝く教会に続くその芝生の坂に、可愛らしい足跡をみつけました。
これも、野ウサギの忘れものなのです。
『また遊びにこいよ、おまえたち・・・』

お蕎麦をいただく旅人のこころとは・・・

『新そば』・・・
この素敵な響きを耳にするのも、少なくなる時期になりましたね。
収穫したてのその風味と、そして淡いやさしい緑色のそばは早い時期でないと
味わうことができないのです。
そしてこの、今年収穫された秋そばを、その時その時に頂く。
暖簾の横に誇らしげに、半紙に毛筆で書かれている『新そば』の文字・・・

信州に住むようになるまでの頃は、晩秋にはかならず安曇野に向かったのです。
素朴な和風の建物に『そば』の暖簾
そんなお店が沢山並んだ街道を散策するのも嬉しいものでした。
『わさびはね、汁にとかしたら風味が無くなるから、蕎麦にのせて食べるといいよ。』
向かいの座席に座られた、旅慣れた様に見受けられる方々から聞こえてきたそんなうん蓄に
『ほんまかいな・・・』などと思いながら、こっそり真似してみたりするのも楽しいものでした。
そしてその食べ方が、今ではしっかりと身についてしまったりしているのです。

今回のお蕎麦屋さんは、穂高駅の近くにある『一休庵』
『新そば』十割は一日十人前までの限定なのです。
ほんのりと黄緑がかった灰色の輝きを見つめていると
『お蕎麦は茹でたてが一番美味しいので、長時間眺めていたらあかんでぇ』
という、わさびの時のもう一つの囁きが頭の隅を過ぎったのです。
こんなにも美味しいものを食べられる幸せを、しみじみと感じながら、
心をこめて・・・『いただきます』とつぶやくのです。


わさび茶漬けです。


 

 

 

 

 

玄関わきには湧水がありました。

二十年近く穂高に住んでいながら、今まで訪れたことのなかった有名なお店です。
まだまだ知らない素敵なお店が沢山あるんやなぁ・・・などと感慨にふける一日となりました。