2018年4月

山岳の春の訪れのこと・・・

開山祭は開催5分前のアルプホルンの演奏から始まりました。

今年は開山祭が行われるようになって、50回目の節目の年となりました。
毎年4月27日に開催される、その日の前に入山し、
馴染みの山小屋に宿泊してから参加するのも、
私にとっては、もうずっと続いている大切なたいせつな行事になっているのです。

もう30年も前の初夏の頃・・・  はじめて上高地を訪れたのです。
何かの表紙にあった、神の降りる場所『上高地・神降地』
この場所のことを、そんな認識で捉えるようになってから、
年々少しずつ変わってゆく景観を、さびしく思うことも多くなりました。
人が訪れやすい環境を造ることが、逆に自然を傷つけてゆくのかな…
そんな事を思いながら、
今のこの景観を記憶に留めておかなければと、強く思う一日になりました。

宿泊させていただく小屋の、スタッフの方々のあたたかい言葉をお聞きすると
本当に嬉しい気持ちになるのです。
そして宿泊されるお客様たちと、色んなお話をさせて頂く事も時々有るのですが、
そんな時は、『いい思い出ができるとよいですね・・・』とこころからそう思うのです。
いつの日か、安曇野で再会できるかもしれないですね・・・そんな事をこっそり思いながら・・・

島々獅子舞保存会の皆様の舞です。『しましまししまい』なんとなくかわいらしい響きですね。

深い森の緑の舞台でみつけたこと・・・

ホテルに隣接する烏川渓谷緑地には、遅い春にカタクリの花が咲きます。
森に生きるあらゆる生命を支える肥沃な森林土壌の中から、
雪解けとともに成長の速度をはやめて
ゆっくり訪れる春の装いに間に合わせるように、
紫色の花びらをひろげるのです。
森の木々を縫って射し込む光に、そしてそよ吹く風にやさしく揺れながら、
まるで緑の舞台で踊る妖精のように振る舞うその姿を、
時がたつのを忘れて魅入ってしまうのです。
『なんでこんなに、綺麗なんやろ・・・』
そしていつまでもこの環境がかわることなく守られていってほしいと願っているのです。

烏川渓谷緑地
http://karasugawa.com/areaguide/forest

いつまでもかわらずにあってほしい桜のこと・・・

今年の桜は、暖かな日が続いたこともあり開花の時期が例年よりも早まりましたね。
毎年毎年、山頂からの景色をこころに刻み込むために、その日も満開になる日を待って行ってきました。
昨年までは、かろうじて少しばかりの綺麗な色で化粧していたその枝に、
今年は花が咲かないのです。

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数年前から少しずつ、桜色の衣がはがれていくのを、悲しい気持ちが入り混じった、
そんな複雑な思いで見つめていたのです。
ソメイヨシノは、自身で子孫をふやせない桜なのです。
光城山の山道には、年老いた桜の大木の側に、苗木を植樹している所をたくさん見ることができるのです。
年老いた木々をこれからも大切にたいせつにしながら、そしてこれからずっと先まで、
この美しい桜並木を守っていけるように、そのような行いに参加してゆければと感じた一日でした。

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光城山は冬に積雪があり、雪山低山用の装備を準備する必要がありますが、
年間を通して登ることが出来る山なのです。
これからは桜と入れ替わって、山吹や躑躅が美しく咲きそろいます。
いつかぜひ、訪れてみてほしいところなのです。

光城山・長峰山ホームページ
http://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/32/10253.html

春の色を蔽う、儚い真っ白な雪のこと・・・


縦に広い信州は、桜が咲くころにも雪が降ります。
4月8日の未明から舞い始めた粉雪は、朝日が昇るちょうどその頃までの
ほんの僅かな時の中で、辺り一面に美しい純白のベールを掛けたような、
素敵な贈り物を届けてくれたのです。

幾分かの湿り気を含んだ粉雪は、厳冬の時の様にずっと残るような事はなく、
しばらくの時をおいて、書き始めていた冬の風景画を、
春の色でなぞっていくように融けてゆく・・・
ほんとうに儚い・・・それでいて美しいものだったのです。

 

春の桜を記憶と写真に残すために、旅の途中でお寄り下さったお客様にも
そして、当館を選んでご宿泊下さったお客さまにも、
淡い桃色の桜の花と、真っ白な粉雪の饗宴をみていただく事が出来て、
本当に嬉しい日になりました。

4月8日現在の安曇野市周辺の桜前線は、
山麓沿いでは大町市境を北限に少しずつ歩んでいるのです。
仁科三湖の中綱湖畔にある有名な大山桜は、まだまだ固い蕾のまま・・・
そして白馬は積雪がありました。
東に池田町の桜仙郷は満開で、山肌に美しい薄桃色の綿菓子を散りばめたようです。
そして深い森の中にある、ホテル周辺の私共が愛する桜は、
ようやく花を咲かせ始めたところです。

寄り道、廻り道・・・のこと

桜の蕾が少しだけ膨らみ始めた山里の春・・・
旧国鉄、篠ノ井線の廃線敷きを歩いてみました。

明治35年に開通し、30年前の昭和63年に廃線となった旧国鉄篠ノ井線・・・
四つの時代を、沢山の人が汽車と共に行き来した・・・
四季のうつろいの中にその面影を静かにしずかに留めているだけの、寂しげな、それでいて美しい空間でした。
山を廻りこみながら谷筋の地形にそって敷いてあった跡地には、福寿草の群生地があり、
近くには東一華(あずまいちげ)の白い花が咲いていて、生い茂る欅や桜の木々の新緑が
光に映える季節には、もう一度ここを訪れてみたいとおもわせる所でありました。

東一華(あずまいちげ)は陽光があたらない限り、花弁が閉じて少し俯いて佇むのです。
花言葉は 温和・・・そして静かな瞳・・・そのとおりの優しさがありました。

すぐ側の山の中には、現在の篠ノ井線が直線的にトンネルの中を通っていて、
そこを高速で電車が走ります。
景色をみる事もなく、時間の短縮と利便性を求めて移動する。
旅をするといつも思うこの便利さの陰に、時代と共に消えてゆくこんな場所が、
日本にはたくさんあるのだということを、寂しく思いながら・・・
この道、寄り道、廻り道・・・
明治の遺産“漆久保トンネル”は機関車が走っていた頃の姿をそのままに、
レンガ積みの美しい色を持つトンネルです。

明科駅方面からの最初の三五山トンネルです。

旧国鉄篠ノ井線廃線敷きウォークhttp://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/32/10252.html