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美しくも儚い山野草のこと・・・

まだ安曇野に移住する前から大好きだった道・・・
小さな美術館やクラフトショップ、
そして素敵なカフェが点在する山麓線が、今は通勤路になっている。
夜勤が明けて帰宅する・・・その道の途中に殆ど毎日のように寄る産地直売所がある。
その毎日のように新しく山野草が店頭に並ぶのを、見るのが楽しくて、そして嬉しいのだ。
その日もクロユリを見つけた。
黒くなりかけた蕾が三つ、
生長した大きさとバランスが合っていないポリエチレンのポットから、ユリ根ごと抜けて倒れているその茎は、蕾をお日様の方に向けようと直角に近い程に曲がっている。
何度かポットに植え替えてみるが、どうしても倒れてしまうのだ。
『このままやったら枯れてまうなぁ・・・』
そして連れて帰ったそのクロユリは、その先をさらに直角に近い角度でお日様の方に向け直し、
優雅な黒い花を咲かせてくれたのです。
『よう頑張ったなぁ・・・』

産地直売所のご紹介
http://www.vif-hotaka.jp/

安曇野は、今まさにいろんな花が咲き誇る。
田圃の畦や民家の庭先には、色とりどりのアイリスやアヤメの花がほんとうに美しいのです。
そして信州は6月16日までの期間、『信州花フェスタ』が開催されているのです。
そんな安曇野に是非遊びに来てくださいね。

『信州花フェスタ』のご案内
https://shinshu-hanafesta2019.jp/

5月23日に、小谷村まで行ってきました。
前回、まだまだ雪に閉ざされていた鎌池は、2週間の時をつかって美しい新緑の世界に姿をかえていたのです。

所々に残る『雪根開き(ゆきねびらき)』です。丸い形がかわいいですね。

そして小谷村に向かう途中の白馬では、今まさに田植えの季節を迎えているのです。

春遅いブナの森のこと・・・

小谷村雨飾温泉から、まだ雪の融けない山道を歩いてきました。
4月になってもまとまった降雪が続いた山間部の集落は、
ようやく遅い春を迎えたような、所々に山桜の薄桃色がふんわりと色を添えているのです。
沢山の雪の重みに覆われた道路は、除雪車が入る事さえ拒絶していて、
道を閉ざしたゲートから目指すブナの森へは、
片道4キロメートル程を歩いてゆかなくては辿り着かないのです。
融雪による幾筋もの水の流れが、大小様々な滝となって流れ落ちるその様は、
野鳥の囀りを搔き消すほどの音となって、薄黄緑色の新芽をつけたブナの森に響き渡るのです。(写真の山は新潟県境の雨飾山・双耳峰なのです。)

目的地は、小谷鎌池・・・
もう何回も通った美しい池畔には、
水面に反映する雪の白と芽吹きの薄緑の季節にしか現れない不思議な現象が、
見られるはずなのです。
『雪根開き(ゆきねびらき)』
一年振りに遭遇する、そんな景色をこころに思い描きながら、
雪上を歩くのも、本当に嬉しいものでした。

数人分のかんじきの跡が残っているのをみとめながら、
そんなすぐ側にカモシカの足跡を発見。
『元気でなぁ・・・人間にみつかるなよ・・・』
などと思いながら悠然と歩く姿を想像するのも楽しいものなのです。

鎌池は、まだまだ1メートル以上の積雪がありました。
そしてその周りには、ようやく新芽をのばし始めたブナの林が拡がっていたのです。
『また来ようかなぁ・・・あと2週間やなぁ・・・』そんな事を思いながら、
フキノトウが芽を出す雪道を、
その時を思いながら、幸せな気持ちで歩いているのです。

 

当館に至る山道は、常念岳の登山口に通じています。
来月辺り、まだまだ残る雪を見にいこうと計画しているところなのです。

水鏡のこと・・・

田んぼに水を張る、薫風香る美しい季節になりましたね。
風が凪いで静かな水面を保つ束の間に、白雪を頂いた山々が映りこむ
その風景をさがしに田圃道を歩いてみました。
ここは北安曇郡池田町の山裾にあり、風景画家の山下大五郎氏の愛した場所なのです。
正午近くの白が掛かり始めた青空に、くっきり線を引く後立山連峰の稜線の美しさに見惚れながら、
縦走した記憶を思いおこしたりしているひと時を、本当に幸せに感じるのです。
これから稲を植え、日に日に少しずつ成長する苗を、大切に管理される農家の方々にも、
感謝の気持ちをずっと持ち続けていきたいと思っているのです。

北アルプス展望美術館(池田町立美術館)では山下大五郎氏の安曇野の原風景の絵画が常設展示されており、
その敷地内からは、安曇野の景色と壮大なアルプスの山々が望めるのです。
http://azumino-artline.net/old/ikeda/2010/07/post_80.php

今年も上高地の開山祭に行ってきました。
昼前から天候が崩れて横殴りの雪が降る、そんな中での式典となりましたが、
自然の厳しさを改めて感じる一日になりました。
写真にある梓川の流れも、毎年大きく変わっているように感じます。
深刻化する上高地の河床上昇の問題等も含めて、
この日は、そのような自然界のいろんなことを考える貴重な一日になりました。

春の花の訪れのこと・・・

今年も安曇野に桜の季節が訪れました。
ここは安曇野池田町の鵜山の桜並木です。
桜越しに望む蝶が岳から常念岳、そして横通岳は
先月から降り続いた雪で、純白のベールを纏っているのです。
昼夜の寒暖差がおおきく、4月にも雪の降ることのある信州は、
4月の半ば頃から見頃を迎えるのです。
ある日突然のように、安曇野の里山や田畑の畦に薄い桃色の綿菓子を、
ふんわりとのせてゆく。
これだけの桜の樹々が存在していたのかと思う程の、その色彩が
眠っていた春の色を呼び覚ますのです。
これからひと月ほどをかけて、白馬、小谷の山間部へとうつりゆく、
そんな儚い、美しい桜の色を追いかけていこうと思っているのです。

そしてホテルに隣接する烏川渓谷緑地では、薄紫の花被片が陽光に透かされて
見惚れる程の美しさをみせてくれる片栗(カタクリ)が満開の時期を迎えました。
日中の陽射しがあるときは、その花被片が上に向かって強く反り返る。
そして夕刻になると傘のように閉じるのです。

東一華(アズマイチゲ)などの早春の植物も、
開いていないとその存在に気がつかないほどの可憐さを持っているのですよ。
東一華の花言葉は『温和』そして『静かな瞳』・・・そんな優しさを感じますね。
白馬村の姫川源流はホテルからお車で50分程。
福寿草と東一華が満開です。そして湿原には水芭蕉も見ごろを迎えているのですよ。
後20日ほどもすると、片栗が花を咲かせるのです。

一生懸命に咲いた花たちを見かけたら、
『綺麗に咲いたなぁ』 『ようがんばったなぁ』と話しかけてあげて下さいね。
草木も花も、心をもっているのです。
たぶん・・・
なんかしらそんな気がするのです・・・

春の雪のこと・・・

カタクリが芽を出して、フキノトウが開いて花をつける頃、
そして芝生も薄く春の緑を纏い始めた4月の初めに、雪が降りました。
ひと晩で周りが真っ白にぬりかえられる、そんな魔法のような出来事が、
ここ信州では、桜の季節にもたびたび起こるのです。
地表が熱を溜めこみはじめる春先は、舗装された道に落ちた雪はすぐに融けるのに、
田畑や森林に落ちた雪は、そのまま装飾されて美しさが引き立つのです。


大糸線の安曇追分駅は、ホテルの最寄の穂高駅から北へ二つ目の駅なのです。
映画『ホワイトアウト』で山を望む景色の美しさから、穂高駅として描かれた駅。
そんなちいさな駅から列車に乗って、日本海方面に向かうのも楽しいものなのですよ。
まだまだ雪が残る山間部を縫うように走る車窓から、
春の陽光が差し込むのをぼんやり眺めながら、
小説を片手に弁当をいただく小さな旅もお薦めなのですよ。
白馬を越えて、南小谷から糸魚川の区間は非電化の区間。
そんな路線を走る一両編成の汽車にも、ぜひ乗ってみてほしいのです。

ティータイム ガルニ
安曇追分駅から中房温泉方面へ車で10分程、安曇野の静閑な森の中に佇む喫茶店。
お店の中にある大きな木の葉の形のテーブル席が、私のお気に入りの場所。
いつか同じようなテーブルを作ってみたいと思っているのです。
店主さんも静かな優しい方なのですよ。
そんな居心地の良い隠れ家で、ゆっくりと過ごしてみるのもよいものなのです。

美味しいコーヒーを淹れる店のこと・・・

私がこのホテルで仕事をするよりもずっと前、30年も昔のお話です。
いつものようにお昼時間に愛する喫茶店に入り浸る。
「ママ、コーヒー2つ」「ひとつアメリカンにしてっ!」
今時アメリカンなんて注文する人はかなりのコーヒー通・・・そう、少なくても中高年の方々だ。
「えぇ~っ、アメリカンなんて、自分でお湯たしぃなぁ~」そしてさらに
「そこにポットがあるやろぉ」確かにカウンターの中にはポットがある。
しかし、お客さんが喫茶店のカウンターに入るってどうなんやろか?
そしてまた、いっこうにロートにお湯が上がってくる様子もない。
「ちょっと、〇〇ちゃん・・・これどうなってんのん?ちょっとやってくれへん電気屋さんやろ?」
そこまでいわれると気になって仕方がない。カウンター内に入るとなんとそこには
外から見えない位置にコーヒーメーカーが・・・そういえば先日購入されてたなぁ!
私・・・「ペーパーフィルターにコーヒーの粉入れてセットします。それから、このボタンをポンと押すだけです。」一応営業の言葉使いです。
ママ・・・「何やのん、簡単やねんなぁ」
私・・・「あかんでぇ、喫茶店やのに、こんなんでコーヒー作ったら!」拍子が抜けて今度は普通の言葉使い・・・
そんな簡単らしいことを外部の者に簡単に聞いてしまうママ、インスタントでも憎めません。
そして注文したコーヒーを自分で淹れる間抜けさに苦笑い・・・
大笑いしている相方には、ポットのお湯を足して「アメリカン一丁出来上がりぃ~」
それでも私はこのお店が大好きなのでした。
注)アメリカンは薄めた訳ではなく浅く焙煎した豆でいれたコーヒーのことなのです。

今回は、昔のお話で紹介した喫茶店ではなく、
穂高の森に中にある、カフェ書翰集にいってきました。

光沢のある床に反映する光が美しくて、見惚れているその空間には、
香ばしいコーヒーの香りが漂っていて、ゆっくりと時の流れを考える自分だけの時間。
そんな贅沢なひと時をすごしに、ここ安曇野へ遊びに来てくださいね。

http://www.shokansyuu.com/

小さなお子様の入店は控えていただいているそうで、大人の空間のようなのです。

暖冬傾向なのか、雪もまだ降らない日が続いています。
我が家の敷地にもカマキリの卵がいくつかできあがっているのですが、
地面からおよそ10センチほどの所にあるのです。
カマキリは、積雪の予知からその年の卵を産み付ける位置を探します。
神秘的ですね。
なのにその中でただひとつだけ、私の目線の高さに産み付けられた卵があるのです。
『こんな高さまで、雪積もるんかなぁ・・・』
初秋のある日、ラズベリーの実を採集に手を伸ばしたその先に、
まさにカマキリが卵を産んでいたのです。
それから数日おきに、ラズベリーを収穫する時にそのカマキリに出会うのですが、
まるで卵を護るかのように、側から離れないカマキリ。
それから何日か経ち、ある日力尽きて地面に落ちてしまったカマキリを、
そっと卵のそばの葉っぱの上におきました。小さな虫なのに、
それが愛おしくてなりませんでした。
『お前はえらいなぁ・・・ずっと傍におるんやでぇ』

星降る安曇野のこと・・・

標高が500メートルを超える晩秋の安曇野、穂高は空気が透き通っているのです。
そして星は、大気が薄くなるにつれて瞬きが少なくなるのです。
大気の濃度が高い低地では、その揺らぎが星の瞬きを増幅させます。
『星の降る里・・・安曇野』
まだ大阪に住んでいた頃に、そんな写真集を本屋さんで見かけてからは、
純黒の夜空に宝石のように輝く、そんな星々に出会うことが待ち遠しかったと記憶しています。
月齢と、月の出入りの時間を十分に確認しながら、
星の輝く夜空に対峙するその瞬間は、何物にもかえがたい幸福を感じるのです。
2.0をはるかに超える10歳の頃の視力で見た、四国の満天の星空に流れる天の川は、
今でも鮮烈に記憶の中に残っていて、
視力の落ちた今では、その星の空を越える情景に出会えないでいるのですが、
何時か天体望遠鏡で、もっと沢山の美しい星達の姿を覗いてみようと、計画をたてているところなのです。

上高地も閉山式を終えました。
例年にないほどの、雪の少なくそして暖かな一日となりました。
今日から半年の間、もうすぐ降る雪に覆われて、
ここ上高地は、冬の眠りにつくのです。

『来年の春にまた、会いにくるで。』
そんな事を思いながら、感謝の気持ちでいっぱいの日になりました。

 

河童橋付近からの星空です。
動かない点が北極星です。
周りの星は北極星を中心に、反時計回りに少しずつ動いていくのです。

10月の穂高連峰上空の西の星空です。
星達は時間とともに、左上から右下へ動いていきます。
稜線をめがけて星が滑り落ちていくような感じがします。

 

11月の黒部立山の東の星空です。東の空では星は左下から右上へ移動していきます。
天上めがけてかけ上がっていくような感じですね。
そして、ここ穂高へ星を見に来て下さるお客さまにも、
本当にきれいな星空を見て頂きたいと、いつも思っているのです。

こころにずっと残したい、そんな気持ちのこと・・・

今年が運行最終年になる、扇沢から黒部までのトロリーバスに会いに行ってきました。
私と同じ54歳・・・その54年の間、無事故で多くの観光のお客様をのせてくれた、
そんなトロバスをファインダーで覗いていると、胸があつくなるのです。
信州に移住して、何度も山行の道程で利用したあのトロバス・・・
何の感慨もなく、そこに走っている事が当然のように思っていた、
あのトロバスが無くなってしまう。
そんな時になって、ようやく大切なものを失う悲しさを思い知るのです。
改札口から迎えて下さる駅員さんも、いつも笑顔がたえず、
その場所を本当に大切にされているのがわかるのです。
私も同じように、ちゃんと頑張ってるやろか・・・
『大地黄金』・・・なぜか、そんな言葉を思い出させてくれるような、
幸せな、そして感慨深い時間を過ごすことができたのです。

立山黒部アルペンルートは、11月30日をもって今年の営業を終了いたします。
もし機会がございましたら、是非トロバスに会いに行ってあげて下さいね。

https://www.kurobe-dam.com/event_info/180415.html

安曇野のこと、そして大切な風景のこと・・・

ホテルに勤めるようになって、お客様が安曇野にお越し下さる訳を
お聞きすることも多くなりました。
初めて訪れるお客様には、やっぱり天気も良くなってほしいと切に思うのです。
何度もお越し下さるお客様には、
私の知らない素敵なところを是非お聴きしたいとも思っているのです。
晴耕雨読…学生の頃、馴染みのなかったこの言葉の意味を、
最近はしみじみと感じる事が多くなりました。
山並みが美しく望める快晴の日は、
ぜひとも初めて訪れるお客様に見せてあげたいと強く思っているのです。
雨の降り始めの強く香る土の匂い、
そしてどんどんと黒く染みになってゆく地面をながめながら、
ここに暮らす、雨天の生活のすばらしさも、
ほんとは少しだけ教えてあげたいとも思っているのです。

安曇野で暮らす事を夢見ていた頃に、出会った美しい風景のこと・・・
そんな美しい紅葉を見にいってきました。
その場所は、山道をずっと歩いていって、雄大な穂高の山々に抱かれた涸沢にあるのです。
何時の季節も登山者に人気のあるその場所へは、行く先々でたくさんの人とすれ違います。
『こんにちはー。』山では気持ちのいい挨拶が飛び交うのです。
大勢のパーティとすれ違う時は『こんにちはー。』『こんちわぁ・・・』『ちわぁー。』
『こんにちは。』の三段活用なのです。
そしてしばらく間があいて『こんちわぁ・・・』『ちわぁー。』・・・『いらっしゃいませぇ』
あかん、職業病や・・・
涸沢に辿り着くまでに、何度か飛び出す場違いな言葉に、思わず苦笑いするのです。

お客様の大切な風景はどんなところにあるのでしょうか…
そんなものを、ずっと大切にして下さいね。

遠い夏の日のこと・・・

子供の頃は、夏休みになると母の実家にお世話になるのが楽しみでした。
親戚に会うことも、そして大工の伯父さんの仕事をながめているのも楽しかった。
蜩が鳴くある日の夕方、母に呼ばれて一緒に町まで買い物について行くことになり、
雑貨店の小さな引き戸の冷蔵庫から、グレープジュースを1本取って
『今日は10歳の特別な誕生日やからね。妹たちにはないしょやで』と言いながら
持たせてくれたのです。
瓶に入ったグレープジュースを飲み切ってしまうのが切なくて、
時間が止まってくれたらええのになぁ
そんな事を思っていた・・・あの日からもう40年以上の歳月が過ぎました。

今年も、夏休みの家族連れの方たちが、大勢宿泊に来てくださいます。
虫かごと網を持って、朝の散歩道を嬉しそうに歩いて行く子供たちを見ていると、
『よかったなぁ、いっぱい想い出もってかえるんやでぇ』
と、思わずにはいられないのですが、
こっそりと、『捕まったらあかんでぇ・・・』と虫たちに囁いていたりもするのです。
なんかしら、複雑な心境ですね。

お客様は夏バテなどされていませんか・・・
私のとっておきをお伝えしますね。

その① 紫蘇ジュース・・・これはもう定番ですね。
材料は、赤しその葉…、水…、砂糖…、クエン酸…。
このクエン酸は、鮮やかな赤色に仕上げるために使うのです。
配合は自分好みがいちばんよいのです。
写真は安曇野の里にある『チロル』の紫蘇ジュースです。
この色のグラデーションの美しさは、ため息がでるほどなのです。

その② ミントのモヒート
材料は、ライム…、ブラウンシュガー…、ラム…、炭酸水…、ミント…。
これも配合は味をみながら調整するのが楽しいのです。
ミントは葉っぱをたくさん入れるとよい風味です。
此処は『たび茶』・・・森の中に入り込んだところに静かに佇む、隠れ家的な空間なのです。